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2006年1月26日 (木)

古に眠る炎竜#17

 我に返ると、二人の旅人たちは球体を間にしながら、手を取り合うようにして立ちすくんでいた。
「あ……」
「大丈夫?」
 状況が良くわからずに茫然とするシリスと、念のために、相手の身体の無事を確かめるリンファ。
「やれやれ……仲がいいものだな」
 ヘレスの声に、二人は、周囲の皆の視線を意識して、慌てて手を離す。
「あ、あの……何がどうなったんだい?」
 取り繕うように、吟遊詩人は、周囲で見守っていたシェイドたちの顔を見回した。
 当人たちと同じくしばらく放心していた考古学者たちは、我に返ると、今起こったことを論理的に考えようとした。
「ああ……急に辺りが光って、二人の姿が消えたと思ったら、すぐにまた戻ってきて、今の通りだ。消えていたのは、ほんの一呼吸の間だったぞ」
 カナークが、緊張を解いて息を吐きながら説明する。
 シリスとリンファには、一呼吸の間とは思えなかった。やはり、何か大規模な魔法の仕掛けがあったのだろう。
 そう結論付けて、リンファは再び、球体をのぞきこんだ。
 彼女は、そこに今までなかったものを見つける。
「見て。どうやら、試練を乗り越えたと認められたみたいよ」
 シリスが、そしてシェイドたちも、球体の周囲に集まってその表面に注目した。
 凹凸のある、球形の世界地図。
 その表面に、本来はない、赤い光が輝いていた。

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