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2005年12月31日 (土)

古に眠る炎竜#05

あなたは、資格がなかったの?」
「ええ。わたしには荷が重いようです。まあ、わたしは古代魔法より、古代文明のほうに興味がありますからね」
 リンファに訊かれて、シェイドは苦笑交じりに応じた。
 デュメル博士には、魔力の存在を感じ取ることができない。カナークとマユラ同様に、シェイドの言うことを信じるだけだ。
 そして、話を聞いているうちに、博士の中で、ある欲求が膨れ上がってきた。資格ある者がエルーダの遺跡を訪れたとき、一体、何が起こるのか?
 それを目にするのもまた、考古学者として名誉なことだ。
「ううむ……調査は中止だ。支度をせい、エルーダの遺跡に行くぞ!」
 思い立ったらすぐに行動。それが、デュメル博士の信条らしい。
「そんなに焦らなくても……」
 旅人たちは疲れているかもしれないと配慮し、シェイドが言いかけるが、それを、シリスが首を振って制した。
「急ぎの用件なんだ。早ければ、早いほうがいい……もちろん、博士たちの都合には合わせるけど……」
 どうやら、わけありらしい。
「では、急いで準備しましょう」
 屋敷の中が、一気に慌しくなる。博士はエルーダ遺跡の資料を探し出し、シェイドとカナーク、マユラはそれを手伝った。
「そうだ。そろそろ、あいつも呼んでやらないと。ずっと無視していたら、へそを曲げるから」
「ヘレスも連れてくのか? まあ、置いてくとそれこそ後が厄介だもんな」
 シェイドがカナークとことばを交わし、一旦、部屋を出て行く。
 次に彼が現われたときには、その肩に、灰色の羽毛に包まれた、一羽のフクロウが留まっていた。
 普通のフクロウではない、と、旅人たちは一目で気づいたようだ。
「聖獣……かしら」
 物珍しそうに金色の目で見回すフクロウの様子から、リンファがそう推測する。
 聖獣。魔獣、というものと同様に、知能を持つ獣型の種族だ。姿の通りの運動能力だけでなく、高い魔力を持っているものが多い。
「ご明察だね、美しい方」
 流暢な共通語で、フクロウは言った。シリスとリンファは予想していたが、セレインは、驚きで目を丸くする。
 まるでマントを広げるように優雅に右の翼を広げ、フクロウは軽く頭を垂れた。
「わたしはヘレス。百年の時を生きているゆえ、その知識をこの研究所の人間たちに請われ、ともに古代文明を探求している聖獣だ」
 大げさな自己紹介にカナークやマユラはあきれの目を向けるが、当のヘレスは、まったく意に介さない。

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